FIPSによるパーティション設定

 ユーザーにとって便利であるように、Red HatはFIPSを提供しています。これは無償で入手できるプログラムであり、FAT(File Allocation Table)パーティション(DOSのパーティション)のサイズを変更することができます。Red Hat Linux CD-ROMのdosutilsディレクトリに格納されています。

Note注意
 

多くの人がFIPSを使用してハードディスクドライブのパーティション再設定を行うことに成功しています。ただし、FIPSが実行する操作の性質上、またFIPSが動作するハード/ソフトウェア構成が多様であることから、Red HatはFIPSが正しく動作することを保証していません。また、FIPSについてはサポートはありません。つまり、ユーザーの責任において使用する必要があります。

 したがって、FIPSによってハードディスクドライブのパーティション再設定を行うことにした場合は、以下の2つのことを行うことが大変重要です。

FIPSを使用することにした場合は、FIPSの実行後に2つのパーティションが残ることに注意してください。1つはサイズを変更した古いパーティションで、もう1つは解放された領域からFIPSが作成したパーティションです。新しい領域を使用してRed Hat Linuxをインストールことが目標であるならば、新たに作成されたパーティションを削除する必要があります。そうするには、現在のオペレーティングシステムの下でfdiskを使用するか、またはカスタムクラスインストールのパーティション設定時に、そのパーティションを削除します。

以下の説明は、FIPSのディレクトリ(/dosutils/fips20/*)にあるFIPSマニュアルファイル、fips.docの簡易版です。この説明はほとんどの場合に当てはまるはずです。何か問題が生じた場合は、マニュアルファイルを参照してください。

  1. Windowsで、以下のことをします。

    • フルバックアップを実行します。

    • スキャンディスクを実行し、ハードディスクに不良クラスタが含まれていないことを確認します。

    • ハードディスクの空き領域にオペレーティングシステムを割り当てる方法を決定します。Windowsエクスプローラを使って、ドライブの空き容量を確認します。各オペレーティングシステムが使用する容量(MB単位)をメモしておきます。

    • まだ作成してなければ、DOSのブートディスクを作成します。

       DOSブートディスクを作成するには、まずマシンをDOSでブートします。

       次にフォーマット済みのフロッピーディスクをドライブに挿入します。

       コマンドプロンプトで以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。

      FORMAT A: /S

       Windows 95を使用している場合は、最初にフォーマット済みのフロッピーディスクをドライブに挿入します。次に、[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]で、以下のように入力します。

      FORMAT A: /S

       ディスケットがフォーマットされ、COMMAND.COMと、関連する隠しファイル(IO.SYSMSDOS.SYSBDLSAPCE.BIN)がフロッピーディスクにコピーされます。

    • Red Hat Linux CD-ROMの以下のファイルをDOSブートディスクにコピーします。

      dosutils/fips20/fips.exe
      dosutils/fips20/restorrb.exe
      dosutils/fips20/errors.txt
      dosutils/fips20/fips.doc
      dosutils/fips20/fips.faq

    • ハードディスクをデフラグします。

  2. DOSブートディスクをフロッピーディスクドライブに挿入し、システムを再起動します。

  3. FIPSを起動します(プロンプトでfipsと入力します)。

     FIPSが開始されると、次のような初期画面が表示されます。

    FIPS version 2.0, Copyright (C) 1993/4 Arno Schaefer
    FAT32 Support, Copyright (C) 1997 Gordon Chaffee
    
    DO NOT use FIPS in a multitasking environment like Windows, OS/2, Desqview,
    Novell Task manager or the Linux DOS emulator; boot from a DOS boot disk first.
    
    If you use OS/2 or a disk compressor, read the relevant sections in FIPS.DOC.
    
    FIPS comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY, see file COPYING for details.
    
    This is free software, and you are welcome to redistribute it
    under certain conditions; again, see file COPYING for details.
    
    Press any key.

    Figure 1-1. FIPS初期画面

     キーを押すと、次のようなルートパーティション画面が表示されます(コンピュータにハードディスクが複数搭載されている場合、パーティション設定を行うハードディスクの選択を求められます)。

    Partition table:
    
     | | Start | | End | Start |Number of|
    Part.|bootable|Head Cyl. Sector|System|Head Cyl. Sector| Sector |Sectors | MB
    -----+--------+----------------+------+----------------+--------+---------+----
    1 | yes | 0 148 1| 83h| 15 295 63| 149184| 149184| 72
    2 | no | 1 0 1| 06h| 15 139 63| 63| 141057| 68
    3 | no | 0 140 1| 06h| 15 147 63| 141120| 8064| 3
    4 | no | 0 0 0| 00h| 0 0 0| 0| 0| 0
    
    Checking root sector ... OK
    
    Press any key.

    Figure 1-2. FIPSルートパーティション画面

     キーを押すと、次のようなハードディスクの詳細が表示されます。

    Boot sector:
    Bytes per sector: 512
    Sectors per cluster: 8
    Reserved sectors: 1
    Number of FATs: 2
    Number of rootdirectory entries: 512
    Number of sectors (short): 0
    Media descriptor byte: f8h
    Sectors per FAT: 145
    Sectors per track: 63
    Drive heads: 16
    Hidden sectors: 63
    Number of sectors (long): 141057
    Physical drive number: 80h
    Signature: 29h
    
    Checking boot sector ... OK
    Checking FAT ... OK
    Searching for free space ... OK
    
    Do you want to make a backup copy of your root and boot sector before
    proceeding? (y/n)

    Figure 1-3. FIPSブートセクタ画面

     FIPSを実行する前にルートとブートセクタのバックアップコピーを作成する場合は、yを選択して、はいと答える必要があります。

    次に、以下のメッセージが表示されます。

    Do you have a bootable floppy disk in drive A: as described in the
    documentation? (y/n)

     DOSブートディスクがフロッピーディスクドライブに入っていることを確認し、はいの場合はyと入力します。次のような画面が表示され、パーティションをサイズ変更することができます。

    Writing file a:\rootboot:000
    
    Enter start cylinder for new partition (33-526)
    
    Use the cursor keys to choose the cylinder, <enter> to continue
    
    Old partition Cylinder New partition
     258.9 MB 33 3835.8 MB

    Figure 1-4. パーティションサイズ変更画面

     初期値では、ディスク上のすべての空き領域が新規パーティションに割り当てられます。この設定ではWindowsパーティションに空き領域が残らなくなるため、これでは困ります。Windowsパーティションのサイズを増やし、新規(Linuxの)パーティションのサイズを小さくするには、キーを押します。Windowsパーティションのサイズを小さくし、Linuxパーティションのサイズを大きくするには、キーを押します。希望どおりのサイズになったら、Enterキーを押します。次のような検証画面が表示されます。

    First Cluster: 17442
    Last Cluster: 65511
    
    Testing if empty ... OK
    
    New partition table:
    
     | | Start | | End | Start |Number of|
    Part.|bootable|Head Cyl. Sector|System|Head Cyl. Sector| Sector |Sectors | MB
    -----+--------+----------------+------+----------------+--------+---------+----
    1 | yes | 0 148 1| 83h| 15 295 63| 149184| 149184| 1090
    2 | no | 0 139 1| 06h| 254 521 63| 2233035| 6152995| 3084
    3 | no | 0 140 1| 06h| 15 147 63| 141120| 8064| 3
    4 | no | 0 0 0| 00h| 0 0 0| 0| 0| 0
    
    Checking root sector ... OK
    
    Do you want to continue or reedit the partition table (c/r)?

    Figure 1-5. FIPS検証画面

     r(パーティションテーブルを再編集する)と答えると、Figure 1-4が再度表示され、パーティションサイズが変更できます。cと答えると、確認画面Figure 1-6が表示されます。

    New boot sector:
    
    Boot sector:
    Bytes per sector: 512
    Sectors per cluster: 8
    Reserved sectors: 1
    Number of FATs: 2
    Number of rootdirectory entries: 512
    Number of sectors (short): 0
    Media descriptor byte: f8h
    Sectors per FAT: 145
    Sectors per track: 63
    Drive heads: 16
    Hidden sectors: 63
    Number of sectors (long): 141057
    Physical drive number: 80h
    Signature: 29h
    
    Checking boot sector ... OK
    
    Ready to write new partition scheme to disk
    Do you want to proceed (y/n)?

    Figure 1-6. FIPS確認画面

 yと答えると、サイズ変更操作が完了します。FIPSがシステムをリブートできないという内容のエラーメッセージが表示されることがありますが、これは特に問題ありません。

 操作が正常に終了すると、ディスクに2つのパーティションが作成されます。最初のパーティション(hda1またはsda1)はWindowsによって使用されます。Windowsを起動し(ドライブA:からブートディスクを取り出してください)、ドライブC:スキャンディスクを実行することをお勧めします。

 何か問題が生じた場合(たとえば、Windowsが起動しないなど)は、DOSブートディスクにコピーしたrestorrb.exeコマンドによりFIPSサイズ変更操作を取り消すことができます。エラーが発生した場合は、FIPSマニュアルファイル(fips.docfips.faq)をお読みください。サイズ変更操作が失敗する原因となる要素が多く説明されています。それ以外のことが全部失敗した場合は、作成してあるバックアップを使ってWindowsを復元することができます。

 第2のパーティション(hda2またはsda2)は、Red Hat Linuxインストールプログラムが使用する領域となります。インストールの途中でDisk Druidの画面が表示されたら、パーティションを削除したうえで(インストールマニュアルに方法が説明されています)、Linuxパーティション設定を実行してください。