複製モードについて
複製モードは、複製セットの通信モードを定義する、ユーザーが選択可能なプロパティです。2 つのモードのデータ複製がサポートされています。
- 同期モード
- 同期モードの複製では、リモートボリュームが更新されるまで、一次ボリュームへの書込み動作の完了が確認されません。同期複製では、二次ボリュームからのデータ受け取りの確認応答を一次ピアが受け取るまで、アプリケーションに戻らずに強制的に待機します。
- 非同期モード
- 非同期モードの複製では、データが一次ボリュームと、ローカルの非同期キューに書き込まれます。リモートボリュームが更新される前に、書き込み動作の完了が確認されます。その後、非同期キューに蓄積された書き込み動作が、リモートピアに順次転送されます。非同期複製を行うと、書き込み動作が一次ボリュームで完了し、二次ピアのボリュームごとのキューに書き込まれるとすぐに、データ複製ソフトウェアがピアに戻ることができます。二次ピアはキューに入れられた要求を、それが書き込まれた順序で受け取ります。二次ピアで書き込み動作が完了したあと、一次ピアに通知が送信されます。
- 非同期キューは、アプリケーションの書き込みの集中発生を吸収するために存在します。非同期キューが満杯になった場合の動作、およびキューに余裕ができるまでアプリケーションの書き込みを待機する方法を指定できます。
- ブロックモード - 非同期キューが満杯になると、キューの内容が十分に出力されて書き込み可能になるまで、一次ボリュームへのすべての書き込み、および二次ボリュームへの複製書き込みが遅延されます。デフォルトのオプションであるブロックモードでは、二次ピアへのデータの書き込み順序が確保されます。ブロックオプションが設定された状態で非同期キューが満杯になると、アプリケーションの応答速度が低下することがあります。二次ボリュームへの書き込み動作は、一次ピアのキューから削除される前に確認応答が必要なため、空間が使用可能になるまでキューへのそれ以上の書き込みを防止することができます。
- 中断モード - 非同期キューが満杯になると、データ複製が中断され、キューへの書き込みが記録されなくなります。その代わりに、複製ビットマップのデータブロックの変化が記録されます。アプリケーションの書き込みはブロックされませんが、中断モードになると書き込み順序は失われます。ただし、アプリケーションにとっては応答速度が大幅に低下することがありません。
- 複製を再開するには、最初に二次ボリュームを一次ボリュームと同期する必要があります。複製操作の計画についての詳細は、データ複製操作についてを参照してください。
非同期モードの複製を選択するとき、次のことを考慮してください。
- 整合性グループのすべてのボリュームが、1 つの非同期キューを共有します。
- 中断オプションを選択した場合は、キューが満杯になると、中断モードに切り替わります。書き込み順序は維持されませんが、アプリケーションの書き込み動作は満杯になったキューの影響を受けません。
- 整合性グループの非同期キューの最小サイズは 16M バイトです。
- 環境に適したキューサイズを選択する必要があります。非同期キューが満杯になると、その後の書き込み動作はキューに入るまで待機する必要があります。その結果、アプリケーションの応答時間が増加します。アプリケーションの応答時間を改善するには、使用率に応じて非同期キューのサイズを増加します。
- 非同期キューのサイズを拡張する必要がある場合は、次のようにします。
- 複製セットまたは整合性グループを中断モードにします。
- 複製セットまたは整合性グループの詳細ページで、プルダウンメニューを使用して非同期キューのサイズを変更します。
- 複製セットまたは整合性グループの同期動作を開始して両方のピアを同期し、複製を再開します。
- キューが満杯になったと思われる場合は、キューに入るディスクブロック数、またはエントリがキューに入っている時間によって制限することができます。非同期キューパラメータの設定は、「複製セットの作成」ウィザードを使用するか、複製セットまたは整合性グループの詳細ページで変更することで行います。
- 非同期モードは、書き込みレートが複製リンクの帯域幅を超えるような書き込み動作の集中に対応できます。非同期キューは、アプリケーションのピーク書き込み時における書き込みトラフィックの集中を処理できる、十分なサイズにする必要があります。キューが大きいと長時間に及ぶ書き込み動作の集中を処理できますが、二次ピアが一次ピアと同期されていない度合いが高まります。
- 非同期複製用に構成された複製セットを整合性グループに追加すると、その複製セット自身のキューが削除されます。
- 非同期キューの性質上、二次ボリュームは常にある程度は一次ボリュームよりも古い状態になります。一次ボリュームと比較して二次ボリュームがどの程度古いかは、その時点で非同期キューにあるデータ量と、リンクの応答速度で決まります。
- ブロックオプションを選択した場合は、キューが満杯になると、キューに空きができるまで書き込みがブロックされます。書き込み順序は維持されますが、アプリケーションの書き込み動作は影響を受けます。
複製セットが存在しているときは、複製モードをいつでも変更できます。ただし、最初に複製セットを中断モードにする必要があります。複製セットが整合性グループのメンバーになっている場合は、その整合性グループを中断モードにする必要があります。
注 : 複製セットが整合性グループのメンバーになっている場合は、複製セットの複製モードを変更できません。複製セットの属性は、整合性グループの属性と一致している必要があります。
関連項目